難発(吃音)・エッセンス

難発が生じる理由

吃音を軽くするために

最終更新日 2024年4月29日(今月、この文字色の箇所を2箇所挿入しました

言葉を話すときに自分が話す言葉(音)に過度に注意が向かう傾向※と意識して発話を行おうとする傾向(発話を意識する傾向)を改善する、自宅でひとりでできる吃音の改善訓練に「スピーチ・シャドーイング」があります。

 

スピーチ・シャドーイングの自宅訓練により改善が見られた成人吃音の1例
 阿栄娜, 酒井 奈緒美, 安 啓一, 森 浩一

短期シャドーイング訓練の吃音に対する効果
 阿栄娜, 酒井 奈緒美, 森 浩一

 

上の文献は、それぞれのページ内にある「PDFをダウンロード」ボタンから全文のダウンロードができます。詳しくはそれぞれの論文をご覧ください。

「短期シャドーイング訓練の吃音に対する効果」という論文の「はじめに」の箇所に「シャドーイングとは、連続して聴こえてくる音声に対して、それを聴きながら、並行して、できるだけ遅滞なくその音声を口頭で再生(復唱)する行為である」と書かれています。

また、国立障害者リハビリテーションセンター専門情報誌「国リハニュース 第370号(令和4年春号)」にある「成人吃音相談外来について」という文書には、スピーチ・シャドーイングについて「インターネットの発話素材をスマートフォンで速度を下げて再生し、このモデルとなる音声を聞きながら、少し遅れて同じように発話し続ける方法です」と書かれています。

小児保健研究 77巻1号 (2018年)にある、国立障害者リハビリテーションセンターの森浩一先生が執筆されている「小児発達性吃音の病態研究と介入の最近の進歩」という文献には、「シャドーイングは、適切な話速で行うと、吃らないように頑張る余裕がなくなり、結果的にそれをしなくても吃らないという体験ができる。素材としてはニュースなどが使えるが、速度調整ができるものが望ましい」とあります。

吃音者のワーキングメモリ容量とシャドーイング潜時の関係」という論文には「二重課題では課題負荷を調整することで常に自己発話への注意を減らす効果を出すことが可能であると思われる」とあります。すぐ上の文献の引用部分と合わせて考えると、スピーチ・シャドーイングの課題負荷は音声の速度で調整するものと思われます。

「スピーチ・シャドーイングの自宅訓練により改善が見られた成人吃音の1例」という論文の表5には、3ヵ月の訓練終了時の対象者の方の以下の感想が記されています。

「21.最初はゆっくり速度(のシャドーイング)が普通速度よりやりにくかったけど、後半になって割としゃべれるようになった」「22.普通速度のほうがやりやすい、頭を使う余裕がないぐらい速いと思った」「23.シャドーイング中は吃音の「き」の字を意識する余裕もないぐらい食いついていく感じでしゃべるので、ブロックが出にくかった」

スピーチ・シャドーイングは、訓練自体に慣れてきたら、音の出し方や自分が口にしている言葉(音)に余計な注意が向かいにくく、なおかつ、流れてくる音声に遅れずについていけ、言葉が詰まることも少ない(発話努力も少ない)、ちょっときついが(流れてくる音声に)なんとかついていける速度で訓練するのがいいかもしれません。

訓練に使用する音声によって、訓練中に音の出し方を考えたり、自分が口にしている言葉(音)に十分な注意が向かう余裕がある場合は、音声の速度を少し速くします。あるいは、それよりも少し速い速度の音声材料を選びます。音声が速すぎてついていけない場合は、ついていける速度まで音声を遅くするか、別のちょうどいい速度の音声材料を選びます。

ゆっくりとした速度で訓練される場合は、訓練に慣れてきて、余裕が十分にある場合には、シャドーイングに支障が出ず余裕が許す範囲で、少し下の【吃音の理解と改善に役立つ文献等】に出てくる「認知行動療法を用いたグループ訓練」の、「考えながら話す」のところにある音読練習の方法「音読しながら内容を深くとらえ、視覚的なイメージも想像し、自分の意見や考えなども浮かべながら音読する」を参考に、情景なども思い浮かべながら訓練されるといいかもしれません。

訓練にイヤホンを使用する場合で、両耳イヤホンを使う場合は、訓練直後に一時的に発音がおかしくなってかえって自分が口にしている言葉に注意が向かうといけないので、密閉式のものではなく隙間から外部の音や自分の声がよく聞こえるインナーイヤー型のイヤホンがいいと思います。ヘッドホンも密閉式のものは避け訓練中の自分の声がよく聞こえるものを選んでください。

下は、スピーチ・シャドーイングの音声材料例です。細かな速度の設定はできませんが、どちらもプレーヤー画面上から速度の変更ができます。残り時間のすぐ右側 x1.0とあるところをクリック/タップすると、0.75倍、1.0倍、1.25倍などが選べます。

 

 

【スピーチ・シャドーイングに関連/関係する文献】

吃音者のワーキングメモリ容量とシャドーイング潜時の関係
 阿栄娜, 森 浩一, 酒井 奈緒美

吃音者と非吃音者の調音速度―音読とシャドーイング課題の比較―
 阿栄娜, 越智 景子, 酒井 奈緒美, 波多野 博顕, 森 浩一

42.吃音者の作動記憶の容量と吃音頻度の関係
 阿栄娜、酒井奈緒美、安啓一、森浩一

B3. 吃音者の阻止(ブロック)の頻度 : シャドーイングと復唱の比較(日本音声学会2014年度(第28回)全国大会発表要旨)
 阿 栄娜, 酒井 奈緒美, 森 浩一

55. 吃音訓練におけるシャドーイングの試み
 阿栄娜、森浩一、酒井奈緒美、越智景子

 

【吃音の理解と改善に役立つ文献等】

・成人の吃音中核症状の病因的考察と臨床への応用 抄録集 24ページ
 森浩一

日本吃音・流暢性障害学会 第8回大会のページからダウンロードできる抄録集にあります。【結論】部分には「成人の吃音の本質的な機序として、吃らないようにと語頭音に注意を向けて発音しようとすることによって後続音との調音結合が破綻し、吃音症状が起きる、というモデルを提案した。注意を最初の音から外すことで自然な発話を誘導することができ、それが体験的に理解できると、吃音を意識しない、自然で楽な話し方への移行が容易になる」とあります。

成人の吃音の複雑さと社会の理解
 森 浩一
 

耳鼻咽喉科医師が行う低強度認知行動療法
 富里 周太

吃音のある成人に対する集団認知行動療法プログラムの開発
 北條具仁,灰谷知純,酒井奈緒美,角田航平,金樹英,森浩一

認知行動療法を用いたグループ訓練 抄録集 56ページ
 北條 具仁、森 浩一、酒井 奈緒美、灰谷 知純、角田 航平

認知行動療法的な電話訓練 抄録集 54ページ
 森 浩一

すぐ上の二つの文献は、日本吃音・流暢性障害学会 第7回大会のページからダウンロードできる抄録集にあります。

二つ上の「認知行動療法を用いたグループ訓練」にある「考えながら話す」に関連する文献

Disfluencies and Strategies Used by People Who Stutter During a Working Memory Task
 Arongna, Naomi Sakai, Keiichi Yasu and Koichi Mori

「吃音のある成人に対する集団認知行動療法プログラムの開発」と「認知行動療法的な電話訓練」に出てくる「マインドフルネス瞑想」についてのお話と動画

・全国障害者自立訓練事業所協議会
 身体障害者リハビリテーション研究集会2018 報告集
 基調講演 
 国立障害者リハビリテーションセンター 
 自立支援局長(当時) 森 浩一

 報告集21ページ3行目から25ページにかけて。

 (13ページ下から4行目から16ページにかけては吃音のリハビリテーションについて触れられています)

 下の動画は1時間45分あります。動画の後半、「足を意識して、文章を読む」エクササイズの少し手前の1時間26分から、「認知行動療法を用いたグループ訓練」の「考えながら話す」のところに出てくる「注意資源」の話も出てきます。「注意資源」の話は、1時間26分47秒から始まる「足を意識して、文章を読む」エクササイズに入ってもしばらく続きます。この動画の「注意資源」(心のキャパシティ)の話は極めて大切な話です。

熊野宏昭 YouTubeチャンネル マインドフルネス基礎編

 (関連動画 熊野宏昭 YouTubeチャンネル

  ・注意訓練法-耳を澄ませて現実を感じ取る方法

  ・マインドフルネスの実践と科学(23年12月)

 

【キーワード】

注意の配分」(注意資源の配分、主だった注意の向き

発話から注意を外す発話行為/発話過程、口にしようとしている音(口から出るはずの音)から他のことに注意を向ける/そらすことによって「発話に対する過度な注意を外す」。

「吃音のある成人に対する集団認知行動療法プログラムの開発」[方法 2.介入]、「認知行動療法を用いたグループ訓練」、「認知行動療法的な電話訓練」、「耳鼻咽喉科医師が行う低強度認知行動療法」[予期不安への対処としての注意のトレーニング]に、発話から注意をそらす先の例が挙がっています。発話から注意が外れることの効果の確認用としては、「成人の吃音中核症状の病因的考察と臨床への応用」の【方法】の箇所にも例が出ています。

発話から注意が外れることにより、思考(話の内容、伝えたい内容[について考えること])やそのときの気持ちなどに、注意が向かいやすくなります。それに伴い、話すときの注意の配分が改善し、意識してコントロールすることが難しい「注意の癖」になっている部分も含めて、発話過程(口にしようとしている)から実際に注意が外れた箇所では、発話(音の生成過程)への聴覚の巻き込みが起こらず、吃音症状が改善します。

Disfluencies and Strategies Used by People Who Stutter During a Working Memory Task」のClinical Implicationsによると、吃音(または発話)から注意をそらす先(distractors)は、とりわけ、緊張と不安が強い状況で吃音を減じる効果が薄れる、容易に習慣化して(慣れて、目新しさ=注意を引きつける力が弱まり)、吃音を減じる効果も弱まる、単純な対象(distractors)ではなく、(習慣化しにくい点で)もっと持続力があって役立ちも大きなものが望ましいそうです。その意味で、常に流動的で容易に習慣化しそうになく、コミュニケーションの質の向上にも役立ちが期待できる、メッセージの内容とその伝え方は、吃音(または発話)から注意をそらす理想的な対象(distractors)になるそうです。(「メッセージの内容とその伝え方(the contents and manner of delivery of messages)」は、「吃音のある成人に対する集団認知行動療法プログラムの開発」では、「伝えたい内容」と「伝えるときの情緒」「自身の感情の表現」という言葉が使われています)

なお、以上の前段階として、発話に向かいがちな注意が発話から外れやすくするために、曝露療法、認知行動療法、マインドフルネス瞑想などによって、話すことに伴う恐怖や不安を(ある程度)軽減させておく必要があるようです。曝露療法の心構えと目標は「認知行動療法的な電話訓練」に書かれています

ピークアウト」(ネガティブな気持ちも、衝動も、それに気づいて、油を注がなければ、自然とピークアウトする)※1 

※1 「マインドフルネス基礎編」の動画より。熊野宏昭「マインドフルネス基礎編」[6/6]の前半「■嬉しい気持ちも不安な気持ちもピークアウトする」「■「様子を見る」ことで自由になれる」で、文章で読むこともできます。

 

【幼児吃音について】

幼児吃音臨床ガイドライン第1版(2021)と添付資料の公開

 

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※自分が話す言葉(音)に過度に注意が向かうことの弊害

自分の言葉(音)に向かった注意が、言葉(音)がからだから生まれ出る「言葉の生成段階」まで、口から出るはずの言葉(音)に固着して離れないままだと、言おうとしているその言葉は詰まります。言葉の生成に聴覚を巻き込んでいるので、そのとき、言葉になる思考は口から出る音(=耳から聞こえてくる音)で考えざるを(=話さざるを)得ない状態に陥っています。言葉になる思考が展開しないと発話運動が始まらず口から言葉は出てこないので、この状態で話すことはできません。

自分が口にしようとしている音そのものに焦点(フォーカス)を当て、詰まった言葉を何とか口にしようとすることも同じです。発話に聴覚を巻き込むと言葉は詰まります※※。自分が話す言葉(音)に注意が集中した状態で話そうとして言葉が詰まっているのに、さらにその音に注意を向けると詰まった状態が継続します。何かのはずみで自分が口にしようとしている言葉(音)から注意のフォーカスが外れ言葉になる思考が自由になるまで、トライを重ねても同じことの繰り返しで、言葉を口にできない状態が続きます。犯人は自分が口にする音に向かった注意です。

以上のケースでは、通常であれば発話運動を構成する発話方向に向いた力も、注意のフォーカスが口にしようとしている音に当たっているため、言葉の生成過程に聴覚を巻き込み、言葉になる思考が身動きできず、(言葉になる思考が展開を始めることによって始まり姿を変えていく)発話運動も始まらないため、(通常であれば吸収される)発話運動に吸収されません。必ずしも発声器官に力が入っている(ように見える/感じられる)から言葉が詰まっているというわけではないのです。

また、話している最中に自分が話している言葉(口から出ている音)に注意が向かい過ぎると、口から出ている言葉そのものである「(展開している)思考」が話題について考えることから注意を奪われて不安定になります。しっかり考えることが難しくなります。

 

発話:言語を音声として発すること。またその結果として発せられた音声のこと。(Wikipediaより)

言葉になる思考:頭の中で「ごはん」と展開すれば、その展開と歩調を合わせ瞬間を(ほぼ)同じくして「ごはん」と口から言葉が出てくる思考。口パク(無音声による話す行為)と通常の声に出す話し方で同じ短文を交互に口にするとき、口パクをしているときに頭の中で聞こえている思考(ないし、その思考を生んでいるもの)。

※※発話に聴覚を巻き込むと言葉は詰まります

普段話しているときに耳にしている自分の言葉はすでに口から出た生成済み(発話済み)の言葉(音)です。(言葉になる)思考が、次々と聞こえてくる言葉(音)のかすかに前を先行して展開を続けていて、その展開する思考に肉体が反応し、発話運動が姿を変えながら次々と口から言葉が出てきて、その言葉を聞いているわけです。口から出てくる(はずの)音に注意のフォーカスを当て、その出る(はずの)音にタイミングを合わせて、話そうとする(=考えようとする)ことはできないのです。言葉の生成過程に聴覚を巻き込んで言葉が詰まります。

(口から出る)音で考える(=話す)、(口から出る)音を頼りに考える(=話す)ことはできないのです。

 

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言葉の正体が思考で、吃音や言葉の不安定さを生んでいるのが自分が話す言葉(音)、話している言葉(音)に向かう過度の注意だとしたら、吃音を軽くするためには、思考(考えること)への集中力(意識の焦点を合わせる力)を強くする一方で、自分が話す言葉(音)への関心(注意力)を弱くする必要があると思います。

口から出てくる言葉(音)が思考(思考の影)なら、自分の発話(音)に注目しているということは、(意識が)自分の思考に注目している、ということを意味します。意識が思考に集中して話題について一緒に考えている状態と、意識が思考を離れて思考を凝視し、監視し、コントロールしようとしている状態は、明らかに別物です。話そうとするときに意識に謎の空白ができることがあるのは、そのとき、これから口にする音に注意を向けることによって結果的に自分の(言葉になる)思考(が誕生する瞬間)を凝視しているせいかもしれません。

苦手な音が言い始めにくるといつも詰まる。自分の発話を意識すると、一続きの言葉が言い終わる前に所々で詰まる。普段意識していない音でも助詞がある場所などのすぐ後ろで、その音がある場所のタイミングによって詰まってしまう。普段の考え事で思考がどもらない以上、(詰まった)その音が言いにくいのではなく、特定の音や自分の発話を意識したときの(音に向かう)注意の癖によって言葉が出にくい状態が作られているのだと思います。

長年の話し方の癖として自分が口にしようとする言葉(音)に注意を向けて話そうとする傾向があること以外にも、失敗/吃音を恐れる気持ち、嫌がる気持ちが、自分が話す言葉(音)に過度に注意を向けさせ、思考に集中することの妨げになっているとしたら、吃音の改善のためには、吃音を受け容れることも大切なことかもしれません。

吃音の改善を口から出る言葉(音)のコントロールと考えるとかえって自分の話し方(言葉)に注意が行って(その結果)弊害も多いと思いますが、言葉の問題を思考と注意の問題に置き換えれば、改善すべき対象、取り組むべき対象は言葉ではなく思考と注意になります。

 

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【本などの黙読で思考がどもる、窮屈になる】

口を動かしたり声を出したりしない、吃音を改善することを目的に始めた、自分で考えた頭の中のイメージトレーニング(たとえば、本を開いて、目の前のページの文章を実際に自分が音読しているところをイメージする、自分で考えたトレーニング)で、誤って、(自分が今この肉体を使って実際に目の前の本を音読しているとイメージしながら、そのときの発声器官の感覚も感じながら黙読し、目に入った活字が音読する音/声になって頭の中に浮かんでくる)思考(頭の中の音/声)が生まれる瞬間を観よう(聴こう)とする、あるいは、生まれてくる思考(頭の中の音/声)を直接コントロールしようとする、自分の思考に注目する、考える主体(読んで内容を理解する主体)とは別の大きな主体が、考える主体とは別に立つ習慣(注意の癖)をつけると、文章を黙読(目読)するときに、吃音の難発と同じような思考の「難発」や、自分の体よりも狭い穴を無理に抜けようとするような、なんとも言えない窮屈感が(黙読の最中、たびたび頭の中に)生じ、普段から本などの活字を読むときに、書かれている文章も内容も満足に読めなくなる障害が発生するようになることがあります。(不思議なことに、スポーツ記事など、内容に強い興味があるものは比較的読みやすかったりします)

この場合、他人の声を使って読む(黙読する)というその場しのぎの対処法もあるかもしれませんが(同時に使える注意資源には限りがあるので、他人の声を思い浮かべながらその声で読むことに注意資源が使われると、思考が生まれる瞬間への注目や思考[頭の中の声]の直接的なコントロールの試みといったことに使えるだけの注意資源がもう残っていません)、本質的な部分を改善するには、上の方で紹介した「認知行動療法を用いたグループ訓練」の「考えながら話す」の箇所にある、以下の部分を参考に、活字(文章)を目で読むときの「注意の配分」(注意資源の配分、[主だった]注意の向き)を、少しずつ時間をかけて、改善(回復)するのがいいかもしれません。(「音読」の部分は「黙読」に読み替えてください)

>ここでは「1回で内容が頭の中にしっかり入る」くらいの速度で(つまり、かなりゆっくり)音読する練習を行う。音読しながら内容を深くとらえ、視覚的なイメージも想像し、自分の意見や考えなども浮かべながら音読する。

試行錯誤しながら吃音の改善努力を始めて誤って思考(考えるときの意識)に手をつけ、考え事を意識すると、普段の考え事でも思考が詰ったり(難発状態に陥ったり)、ひどく窮屈になるようになった場合も改善法は同じです。(浮かんでくる)思考を観ること聴くこと、コントロールすることに注意を向けるのではなく、考えることそれ自体に注意が向かうように改善していきます。

※ 黙読が頭の中での「音読」になってはいけないように、思考も頭の中での「発話」になってはいけません。

 

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下は、昔書いていたホームページの画像です。Google Chromeで手元のhtmlファイルを読み込み、キャプチャーしたものから、図と図の説明部分を抜き出したものです。語頭音に注意を向けて発音しようとするとなぜ後続音との調音結合が破綻するのか、口にしようとしている音に意識が固定(注意が集中)した状態で、どうして声に出して考えることができず、言葉を口にできないのか、について、ご参考になるかもしれません。画像のハイパーリンクアドレスはimgurのpngファイルです。

図1

図2

図の1行目の「発声意思をともなう思考」は、このブログの「言葉になる思考」にあたります。(A)(B)(C)の3行図は2000年1月から2004年頃まで使っていました。

 

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最後に、

1.(言葉になる)思考が展開するから
2. 肉体が反応し(発話運動が始まり)
3. 口から言葉が出てきて
4. それを耳にしている

1(思考)も3(言葉)も、思考(考え)を生み出している思考本体の果実(活動の結果)であり、それぞれをターゲットに、それぞれを、直接コントロールすることはできません。

言葉が生まれる瞬間に注目すると思考と体がつまり、
思考が生まれる瞬間に注目すると思考がつまります。
言葉を直接コントロールしようとすると思考と体がつまり、
思考を直接コントロールしようとすると思考がつまります。

2024.02.15